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「鉄ヲタ専用車両でーす」 暴走する一部鉄道ファンの行き着く果ては…(産経新聞)

 写真を撮ったり、遠くまで旅行したり、ダイヤを眺めたり…。こんなさまざまな楽しみ方がある鉄道。最近は女性の愛好家も増えるなど鉄道ファンの数は増加傾向にあるようだ。ただ、人気上昇にあわせるように一部でマナーが問われる事態も発生している。さらには単なる迷惑行為にとどまらず、犯罪としか言えないような行為も。多くの良心的なファンからは「鉄道を楽しむ場を自ら少なくする行為だ」と懸念する声が高まっている。彼らは、なぜ暴走してしまうのか−。(豊吉広英)

 ■ホームの先端にカメラの砲列 狙うは丸いヘッドマーク

 1月24日、神奈川県と埼玉県の間を結ぶJR京浜東北線。平日なら通勤通学客で混雑するこの路線も土日祝日の昼間となれば、そう多くの乗客はない。日曜日のこの日も、多くの列車は閑散としていた。一部の例外を除いては…。

 午後3時半過ぎ。横浜方面へ向かう列車が東京駅に滑り込んできた。その先頭と最後尾の車両には「ありがとう」「209系」などと記された丸いヘッドマークが装着されている。ホームの先端では、カメラを構えた数十人の一団が待ち構え、ヘッドマークをつけた列車が近づくと一斉にシャッターを切っている。

 この日は京浜東北線から「209系」と呼ばれる通勤型車両が引退する日。ホームの人だかりは、京浜東北線を走る「209系」電車の最後の姿を目に焼き付け、雄姿を撮影しようとする鉄道ファンだったのだ。

 別れを惜しむファンは、車内にも多数乗っていた。特に先頭の車両は朝のラッシュ時にも負けない満員状態だ。

 何も知らずに乗ってきた一般の乗客。その目の前では、信じられないような異様な光景が繰り広げられていた。

 ■「一般人は乗れませーん」 響く声に周囲は…

 ほとんどが男性のその集団は、駅に到着するたびに「うおー!」という歓声を上げていた。そして、ドアが開くと同時に一斉にホームへ駆けだして写真を撮り、また駆け足で車両に戻るという動きを繰り返す。車内を見渡すと、座席では靴を脱いで立ち上がり、うれしそうに車内を眺める少年の姿もある。隣に座った初老の女性は、少年が背負ったバックパックが何回もぶつかり、思わず顔をしかめているが、車内で大声を上げる集団は誰も少年をとがめようとしない。

 そのうち、一般の乗客が乗ろうとすると、満員の車内から、甲高い叫び声が聞こえてきた。

 「一般人は乗れませーん」

 「鉄ヲタ専用車両でーす」

 途中、外国人とみられる親子が乗ってきたが、父親に抱かれた幼児は、あまりの騒音に泣き出してしまった。何が何だか分からない様子の親子は、次の駅で慌てて下りる羽目に。

 午後6時13分。京浜東北線を走る最後の209系が終点の南浦和駅に到着する時間になったが、その列車は定刻を過ぎても姿を現すことはなかった。やっと先頭車両に設置されたヘッドマークが見えてきたのは、予定時刻を20分以上も過ぎたころ。一連の騒動でダイヤが乱れたとみられるが、「まあ、こういう車両ですから」。ホームで警備を行う駅員は、あきらめた口調でこうつぶやく。

 列車がホームに滑り込む。ドアが開いた瞬間、満員の車内からカメラを持ったたくさんのファンが駆け降りた。ヘッドマークを見ることができるホームの両端は、たちまちカメラを持った鉄道ファンで埋め尽くされた。

 「押すなよ!」「お前、邪魔!」

 こんな怒声も聞こえてくる。

 しばらくホームにとどまった209系。京浜東北線での役割を終えた車両は、車両基地に戻るため、また静かに動きだした。

 「ありがとう、209系!」。ほおを赤らめ、ホームから遠ざかる209系に声を掛け、見つめる鉄道ファンたち。それだけなら、心温まる情景なのだが…。

 「彼らは『葬式鉄(そうしきてつ)』と呼ばれる人たち」と説明するのは、小学生のころから鉄道を愛して止まないという会社員の男性(32)だ。

 「車両や路線が廃止されるときに、最後の雄姿を目に焼き付けたり、写真に撮りたいという人たちで、多くは良識的だけど、一部で車内で大声を出したり、周りに迷惑を掛けたりする不届き者がいる。思い出の車両との最後の別れを惜しんで訪れた本当のファンは、みんな白い目で見ている」とため息をつく。

 葬式鉄の暴走はしばしばみられるようだ。昨年12月5日には東京と千葉、茨城方面を結ぶ常磐線で「207系」電車が引退したが、この時は2度にわたってカメラを構えたファンが線路に近づき、列車が緊急停止する事態を引き起こしている。

 ■死亡事故から犯罪まで 広がる迷惑行為の数々

 車両を研究する「車両鉄」や鉄道写真を撮る「撮り鉄」、鉄道旅行を愛する「乗り鉄」、鉄道模型を楽しむ「模型鉄」…。さまざまなジャンルに派生するなど、間口の広い鉄道は、ファンも広がりやすいのかもしれない。

 「最近は鉄道に熱中する従来のタイプだけでなく、女性をはじめ、幅広い世代で鉄道に愛着を持ち、親しみをもってくれる人が増えてきていると思う」

 ある鉄道会社の関係者は、現在の鉄道ファンの現状についてこう解説する一方、次のように指摘する。

 「それにあわせて迷惑行為も増加している」

 鉄道各社で頭を抱えている迷惑行為は、ファン同士の撮影場所の取り合い▽鉄道敷地内への無断侵入▽係員のお願いや制止の無視▽鉄道施設に対する落書き、盗難▽記念撮影をする親子や一般利用客に対する妨害行為や罵声(ばせい)▽チケットやグッズの買い占め−などがあるという。

 こうした行為の中には、ただ単に迷惑だけではすまないケースも多い。

 平成20年11月には、神奈川県茅ケ崎市のJR東海道線の踏切で、遮断機の横の空き地に三脚を立てて写真の撮影をしていた男性=当時(47)=が、踏切内に倒れた三脚を直そうとして列車と接触し、死亡するという事故も起きている。男性は近く廃止される列車を撮影するために踏切を訪れ、カメラには事故直前に通過した列車が写っていたという。

 さらには、廃車直前の車両の車号札や、行き先表示板(方向幕)などを記念に持ち帰る「盗(と)り鉄」と呼ばれる不届き者も後を絶たない。これは、窃盗という完全な犯罪行為だ。

 ほかにも、正規の運賃を支払わずに不正乗車するキセル行為の方法や、自ら行ったキセル行為の数々をネット上で喧伝(けんでん)する者も現れているという。

 鉄道各社は、対応に苦慮している。

 「明らかに違法と思われるものには、しっかりとした対応をさせていただいている」と話すのはJR東日本。ただ、実際には、そうはうまくいかないようだ。

 ある鉄道会社の職員が打ち明ける。

 「迷惑行為といっても、正規の賃金を払っている以上、乗客であることに違いはない。危険だったり、違法だったりするならともかく、乗客同士のトラブルではあまり強くモノも言いづらい雰囲気はある。本来なら一般乗客の利便が一番優先されるべきなのだが…」

 ■原因はマナーを学ぶ機会の減少? コミュニケーション能力の低下?

 では、なぜ迷惑行為が増えてきているのだろうか。

 「マナーを教わる機会が減っている、というのはあると思う」と話すのは、日本の鉄道趣味誌の中で最大の部数を誇る「鉄道ファン」の編集部だ。

 同誌では誌面やインターネットのホームページに掲載する鉄道写真を募集しているが、明らかに危険な場所や鉄道敷地内など立ち入り禁止の場所で撮影したと思われる写真もしばしば送られてくるという。

 編集部は「以前はグループで写真撮影を撮ったりすることが多く、その中でさまざまな決まり事を教わることが多かった。しかし、今は“一匹おおかみ”的な人も増え、これまで鉄道愛好家が守ってきたマナーを学ぶ機会が少なくなってきたのではないか」と指摘する。

 「個々人のコミュニケーション能力が低下している。『お客さま』の肩書を乱用し『客だから何をやってもよい』という間違った認識の人が多くなったのではないか」とするのは鉄道会社の関係者だ。

 さらに「鉄道ブームに便乗しただけのテレビ番組や出版物も氾濫(はんらん)している。風変わりな鉄道ファンを追いかける番組や、いいかげんな内容の出版物は、新規ファンの誤解や誤ったブームを形成する土壌になっている」と昨今の間違ったブームの方向性に警鐘を鳴らす。

 次に鉄道ファンが大挙して結集するとみられるのは、3月に行われるJR東日本のダイヤ改正前日だ。この改正では、上野駅発の数少ないブルートレインとして知られる寝台特急「北陸」と、懐かしいボンネット型の先頭車を持つ夜行急行「能登」の廃止が決まっており、通勤型車両「209系」の引退の比ではない“騒動”が予想されている。

 JR東日本では、ガードマンや普段デスクワークをしている応援社員を含めて80人近くが、ホームなどでの警備に当たるという。

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by pfsyoebrkc | 2010-02-12 11:18
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